山形大学の江成広斗教授と学生のグループは東北各地の山を調査し、豪雪がイノシシやサル、ノウサギなどにもたらす影響を調査した。体の大きさや食性が豪雪に対する耐性を決定する要因になる可能性が示唆されている。
気候変動は温暖化だけでなく、極端気象の頻度や規模を増大させ、野生動物の生存に影響する新たな脅威になりうる可能性が指摘されている。その典型として、日本など温帯域における大寒波があげられる。
江成教授らは極端な豪雪が在来哺乳類7種(イノシシ、サル、キツネ、テン、ノウサギ、タヌキ、カモシカ)の越冬時の行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、多雪地である十和田(とわだ)、朝日、飯豊山(いいでさん)系を踏査。対象種の雪上の足跡を記録することで生息地利用を評価した。
結果として、「積雪上の移動で最も不利なイノシシは、日当たりのよい低標高域に集まる傾向があり、極端な豪雪に見舞われるとスギ人工林に逃げ込み越冬を試みる傾向がある」と分かった。
加えて、「ノウサギなど体が小さい哺乳類は極端な豪雪が降っても利用する生息環境を大きく変化させられない」「植食性の種は、極端な豪雪が降ると、冬季の主食となる食物の多くが雪に埋まるため、利用できる生息環境が著しく制約を受けること」が判明している。