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糖尿病関連腎臓病の新たな治療ターゲット 岡山大研究Gが発見 薬の標的にできる可能性 

岡山大学と米MDアンダーソンがんセンターの研究グループは、透析導入の世界最大の原因である糖尿病関連腎臓病の新たな治療ターゲットを発見した。腎臓のエネルギーに関わる「NDUFS4」などが、糖尿病関連腎臓病における新たな治療ターゲットとなる可能性がある。

日本において透析の原因となる最も多い腎臓病は糖尿病関連腎臓病(DKD)で、その進行を抑えたり、治したりする新規治療ターゲットの探索、新規治療薬の開発が望まれている。

研究では腎臓の重要な機能を担う細胞「ポドサイト」で、腎臓のエネルギーや酸化ストレスに関わる「呼吸鎖複合体I」の活性やそのサブユニット「NDUFS4」の発現量が低下していることが分かった。

研究グループは、NDUFS4がDKD進展に大きく寄与していると考え、NDUFS4をポドサイトのみで過剰発現させたマウスを作製。DKD進展やミトコンドリアの機能評価を行った。それによると、ポドサイトでNDUFS4を過剰発現させるとミトコンドリア機能や構造が改善し、糖尿病関連腎臓病の悪化が抑制された。

また、ポドサイトでNDUFS4を過剰発現させた糖尿病マウスでは、腎臓病進展のマーカーである「アルブミン尿」が低下し、ミトコンドリアの内部構造維持に重要なたんぱく質STOML2とNDUFS4の相互作用が改善することでミトコンドリア機能が改善することを突き止めている。

研究グループの三瀬広記客員研究員は「今回の研究をさらに発展させ、糖尿病関連腎臓病が治るような治療薬の開発につなげたい」としている。