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タバコ煙に含まれる「メチルビニルケトン」 岡山大など5機関が生理機能に悪影響を与える機構を解明 

岡山大学など5機関は共同でタバコ煙や排気ガスに含まれる「メチルビニルケトン(MVK)」が、シグナル伝達に重要なたんぱく質であるホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の制御サブユニットのシステイン残基に共有結合することで、受容体との結合を阻害することを明らかにした。

これまで高濃度MVKにさらされることによる細胞毒性評価などの成果しか発表されておらず、その標的たんぱく質や付加体形成による生理機能への影響はほとんど解析されていなかった。

研究グループは細胞増殖やオートファジー、糖代謝などの制御を担い、細胞内の恒常性維持に重要なホスファチジルイノシトール 3-キナーゼ(PI3K)–Aktシグナリングに着目。システインと共有結合する「親電子物質」のばく露による影響を解析した。

MVKはこのシグナリングを負に制御し、オートファジーや糖の取り込みなどの重要な生理機能を破綻させることを示した。また、そのメカニズムとして、PI3K制御サブユニットのシステイン(Cys)残基に特異的に共有結合することで、受容体との結合を阻害することを明らかにしている。

興味深いことに、MVKはPI3K酵素活性には影響せず、PI3Kへの付加体形成が、シグナリングの抑制に大きな役割を担うことが示した。

また、MVKと構造が類似している環境化学物質を選定して同様に評価した。食品添加物として用いられる「エチルビニルケトン」、加工食品に含まれる「アクロレイン」などがMVKと同等の効果を示すことが判明している。

研究グループは「タバコ煙の曝露だけでなく、食品添加物や加工食品の摂取、農薬成分などさまざまな曝露が糖尿病や成長障害などの疾患発症に寄与する可能性が示された」とコメントしている。