愛知医科大学と京都大学、東京医科歯科大学は共同研究を行い、意思決定に関わる「線条体」と感覚を結合する「楔前部(けつぜんぶ)」と呼ばれる脳領域の結びつきの強さや同期性が、妄想の大きさと相関することを世界で初めて明らかにした。既存の薬物治療であまり効果がない根拠のない想像の新たな治療法開発につなげていく。
妄想とは誤った、強く確信された、訂正が困難な考えで、統合失調症や妄想症などで見られる一般的な精神症状だ。患者に苦痛をもたらすため、効果的な治療法の確立が望まれている。
研究では統合失調症を持つ患者37人と、比較対象として健康な33人が参加した。「結論を下すまでにどれだけ多くの情報量を必要とするか」を測定する実験をした。
その結果、線条体と楔前部の結合性が負の関係であるほど、結論への飛躍が著しいことが分かった。統合失調症の患者では、その結びつきが負であるほど、妄想が強力であることも判明している。
研究チームは「研究の結果がより多くの参加者で再現されたら、線条体と楔前部の間の結合性を標的とするニューロフィードバック研究を実施する」とし「抗精神病薬に不応性の妄想に対する新しい治療法を開発し、患者さんに提供できるようにしたい」と力を込めた。