東京大学の坂本健太郎准教授らからなる研究グループは、海生爬虫類であるアカウミガメが、海面では1分間に約21回である心拍数が、140㍍以上潜水すると2回にまで減ることを発見した。海生爬虫類が哺乳類などと同様に深く潜るほど心臓の動きが小さくなることを初めて突き止めている。
研究の困難さからウミガメ類では、自然環境下で潜水中の心拍数を測定した研究はオサガメの1例しかなく、海生爬虫類が深く潜るときの心拍数はほとんど知られていなかった。
研究グループではウミガメの甲羅に電極を貼り付けることで、手術をせず心拍数を測定する独自の方法の確立に取り組だ。この手法を用いて夏の海で自由に潜水しているアカウミガメの心拍数と潜水行動を計測した。
それによると、アカウミガメは数分~63分の間に、深度1~153mの範囲を潜水した。いずれの場合も、海に潜って数分以内に心拍数は低下していた。その平均値を計算すると、海面で呼吸するときは1分間に約21回だったのに対し、潜水では同じ時間で約13回であった。140m以降は1分で2回にまで下がった。
続けて潜水や水温が心拍数にどれだけ影響しているかを分析。その結果、最大潜水深度が深いほど心拍数がより下がることが判明した。海生哺乳類や鳥類では、深く潜るほど心拍数がより低くなることが知られていたが、爬虫類でも同じ傾向があることが初めて分かった。
坂本准教授らは「外温性爬虫類のウミガメが深く潜るときの心拍数が明らかになったことで、肺呼吸動物が海で生きていくための仕組みの理解につながる」とコメントしている。