東京農工大学の鈴木健仁准教授らは、100ナノメートルのシリコンで極めて薄い「赤外線吸収メタサーフェス」を実現した。6Gのさらに先にある7G通信での応用が見込まれている。
メタサーフェスは、誘電体膜上に電磁波の波長よりも十分に小さい構造を人工的に設けることで、自然界に存在しない光学特性を実現したシート状の人工構造材料。極めて薄い誘電体膜の表と裏の両面に微小な金属構造を作製する技術を構築できれば、赤外線を操るためのメタサーフェスを実現できるという。
研究成果では、赤外域の電磁波に対して動作する赤外線吸収メタサーフェスを、厚さ100ナノメートルの非常に薄い窒化シリコン(SiNx)膜を用いて実現した。メタサーフェス吸収体は、微小な金属を作製する「両面同時電子ビーム露光法」により開発している。
作った赤外線吸収メタサーフェスを測定したところ、50テラヘルツ吸収率97.1%、反射率2.2%、透過率0.7%と極めて薄い素材ながら高い赤外線吸収率を有することを確認した。
鈴木准教授らは「両面同時電子ビーム露光法は、熱放射を制御するための赤外域のメタサーフェスの作製への応用や6G(Beyond 5G)通信のさらに次世代の7G通信でのテラヘルツ波帯アンテナの作製への応用も進んでいる」とコメントしている。