理化学研究所と野村皮膚科医院の研究グループは、アトピー性皮膚炎の生物学的製剤「デュピルマブ」における治療効果の層別化を行った。アトピーの残存傾向は男性が半数を超え、世代別では30代と60代以上で症状がほぼ消失する傾向していた。
野村皮膚科医院でデュピルマブの治療を受けた15~71歳までの49人のアトピー性皮膚炎患者が調査の対象。2018年7月~21年7月にかけて、顔の紅斑(こうはん)の評価と分析も行っている。
16週間にわたって病状を観察したところ、「早期に寛解する群」、「緩徐(かんじょ)に改善する群」、そして「顔の症状が残存する傾向にある群」の3グループに分けられた。
調査によると、早期寛解群と残存傾向群を区別するための重要な因子として年齢と性別が挙げられた。10、20、40、50代は症状が残る傾向が高く、性別では男性の残存は58.8%と割合が大きかったと判明している。
グループは「この基礎研究は、アトピー性皮膚炎治療のみならずさまざまな治療選択における将来の医療支援ツール開発のための実質的な基盤を提供できる」と説明している。