熊本大学と東海大学の研究グループは、北海道、関東、熊本という限定的な場所でしか発見されていない希少植物「キタミソウ」の染色体構造を突き止めた。
キタミソウは北半球に広く分布する湿生植物で、日本には渡り鳥によって飛来したと考えられている。春夏期に水没し秋冬期に一時的に露出する特殊な場所で観察され、1カ月程度で開花して結実する。日本のキタミソウが世界のものと比べてどのような違いがあるのか分かっていなかった。
研究グループは、日本に存在する全ての産地の植物の染色体構造を解析して特性を明らかにした。キタミソウ属は進化の過程で染色体数が2倍よりも多くなったことにより進化したことが分かっている。また、日本のキタミソウを海外と比較することで、雑種起源の異質4倍体である可能性が示された。
これは、日本以外の国で近縁のキタミソウの仲間同士が雑種を作り、それが日本にやってきたことを示唆する。
研究グループは「なぜ日本国内の分布が限定的なのか、熊本ではなぜ江津湖と秋津町でしか見られないのか、日本の異なる産地のキタミソウはそれぞれ世界のどこからやってきたのかなども明らかにしていく」としている。