大阪大学の井奥智大特任助教らの研究グループは、領有権が脅かされると日本人は不安を抱き、その程度は政治的思想により異なることを明らかになった。自由主義者がより強くストレスをためたという。
研究グループは被験者810人が、領有権が脅かされると日本人がどう思うのかを調べた。実験では中国の行為により日本の領土、経済または文化が失われる内容の記事を参加者に読んでもらった。
その結果、領土についての記事を読む場合、日本人は「私たちの領土が取られるのでは」と不安になる傾向があった。また、そう思うことで、「日本人は中国には協力しないほうがいい」との考えを持つことも明らかになっている。
だが、全員が同じように不安になるわけではなく、もともと不安の低い自由主義者のほうが保守的な人よりも不満を高めていた。
井奥特任教授らは「外国との領土争いによって、一般市民の行動や外交政策の賛否がどのように形成されるのかを理解することに役立つ」とコメントしている。