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銀河系に降り積もる水素ガス 名大、系外起源とする証拠を発見 20年来の状況打開 

名古屋大学の福井康雄名誉教授らのチームは、銀河系に落下するガス雲(高速度雲・中速度雲)の重元素量分布の全天にわたる精密な地図を世界で初めて作成した。「中速度雲の重元素量は太陽系周囲のガスと同程度」とされてきた定説を覆し、低重元素であることを示した。銀河系外に起源を持つ証拠を初めて検証している。

2000年頃に集中して行われた原子吸収線スペクトルによる測定によって、中速度雲は太陽系の周囲のガスと同程度の重元素量で噴水モデル的な物質の循環、高速度雲は10分の1程度の重元素量で銀河系外から落下しつつあるガスと解釈されてきた。

だが研究の結果からは、重元素量が太陽系周囲のガスとほぼ同じと分かった。超新星爆発などによって吹き上げられた銀河系噴水モデル的な物質の循環であると説明されてきた中速度雲について、重元素量が太陽周囲の3分の1以下である成分が多く含まれていることも判明している。

さらに、重元素量の多い銀河系のガスと混合している証拠を示し、中速度雲の大部分が系外由来の始原的ガスである可能性も明らかになった。

中速度雲の重元素量地図(この図では全天の4分の1を表示している)。太陽系周囲のガスを 基準として、少量の重元素しか含まれないガスは青、重元素過剰なガスは赤になるよう色付けされている。丸印はこれまで吸収線観測による測定が行われてきた箇所で、今回の研究によって情 報量が飛躍的に増えたことは一目瞭然