京都大学と上智大学、曁南大学(中国・広州市)の研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診と医療レセプトのデータを用いて、日本において個人の所得と腎機能低下に関連がみられることを明らかにした。
慢性腎臓病(CKD)は何らかの原因により腎臓の機能が慢性的に低下する病気で、国内では成人のおよそ8人に1人がり患しているとされる。研究では最大の保険者である全国健康保険協会のデータを用いて、所得と腎機能低下の関連性を検討した。
研究グループは約560万人分の情報を解析。所得の最も低い月収約14万と高い約83万のグループを比較した結果、低月収であるほどCKD進行のリスクが1.7倍、腎代替療法(透析、腎移植)開始の可能性が1.65倍高いことが示されている。
この関連は男女ともに認められたが、女性よりも男性、また糖尿病グループよりも非糖尿病グループで大きい傾向があった。
研究グループは「生活習慣や治療の質、社会的なストレス、居住地や職場の環境など、差を生み出すメカニズムの解明も必要であり研究を進めていきたい」と力を込めた。