東京慈恵会医科大学の青木拓也准教授らの研究グループは、かかりつけ医を持つ住民を新型コロナウイルス感染症禍の1年間追跡。約2割でかかりつけ医として相談できる医師がいなくなったか、医師の変更があったことが明らかになった。変更は高いプライマリ・ケア機能を発揮する医師ほど少ないと明らかになっている。
研究ではパンデミック下の2021年5月〜22年4月に実施されたプライマリ・ケアに関する全国コホート研究のデータを用いて実施。対象は調査開始時点でかかりつけ医がいる40〜75歳の一般住民725人を対象としている。
それによると、期間中に93人(12.8%)でかかりつけ医として相談できる医師がいなくなり、46人(6.3%)で医師の変更が発生した。住民の属性の影響を統計学的に調整した結果、JPCAT(※)総合得点が高くプライマリ・ケア機能がある医師を持つ住民ほど喪失が少ないことが判明している。
研究グループは「この結果から、かかりつけ医の普及のためには、国民に向けた啓発や情報提供に加え、かかりつけ医側の機能強化の取り組みが重要である」と指摘している。
※ 成人外来患者を対象にプライマリ・ケアの特性に対する尺度であり、近接性や継続性、協調性などから構成される