京都大学の城友泰助教らの研究グループは、ドナーを用いた移植法「HLA半合致移植(PTCyハプロ移植)」とさい帯血移植を比較して、どちらが優れているかを確認した。治療の成功を示す第一寛解期での移植に限定すると、PTCyハプロ移植は再発のリスクは少なく、かつ移植後合併症がさい帯血移植よりも少なく、全生存が高かった。
日本のHSCT実施施設から一元管理プログラム(TRUMP)に登録された急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対してPTCyハプロ移植もしくはさい帯血移植を受けた成人患者1999人のデータを用いて予後を比較した。
全体では、PTCyハプロ移植はさい帯血移植と比べて、治療合併症による死亡が少なものの再発が多く、結果として全生存(OS)には差がない結果であった。移植が必要なALLの患者でHLA的合ドナーが得られない場合には、さい帯血移植とPTCyハプロ移植はいずれも有用な可能性が示唆されている。
患者背景ごとにPTCyハプロ移植とさい帯血移植を比較すると、ALLの経過で第一寛解期に移植を実施した場合においては、PTCyハプロ移植でも再発が増加せず、治療合併症による死亡も臍帯血移植より少なく、OSが良好な結果であった。またPTCyハプロ移植では、移植する幹細胞数が多い方が、良好な予後と関連していることが分かっている。
研究グループは「今回得られた知見は、各患者が有する疾患の性質や患者の病状を考慮して移植ドナーと移植法を選択することの重要性が示唆され、移植ソース選択の最適化と移植後予後改善に寄与する」としている。