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システム生物学のためのメタバース 代謝ネットを可視化・操作するVRアプリを開発(理研)

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターバイオコンピューティング研究チームのエリオット・ジャコパン大学院生リサーチ・アソシエイト、海津一成上級研究員、高橋恒一チームリーダーらの研究チームは、細胞内の代謝経路の挙動(振る舞い)をシミュレーションし、仮想現実(VR)ヘッドセットで可視 化するシステム生物学研究向けVRソフトウェア「ECellDive」を開発した。

この研究成果は、仮想空間(メタバース)での新しい協働的な生命科学研究を提案するもので、人間には全体像の把握が困難な大規模で複雑な細胞内の分子ネットワークを解明し、生命現象の理解を目指すシステム生物学の発展に貢献することが期待される。

細胞内では、複数の分子が相互に作用し合い、大規模で複雑なネットワークを 形成している。この生命システムを包括的に理解するためには多様な知識と技術が求められるが、専門分野の異なる複数の研究者が共同で一つのモデル を作り上げることは容易ではない。

今回、研究チームは、VRデバイスを活用して仮想空間上で代謝ネットワークをシミュレーションし、操作するためのソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、複数の研究者が仮想空間上で協働しながらモデルを解析し、構築することを可能にするもの。また、開発で得られた知見を元に、データの追跡性や完全性など、科学研究に求められるメタバースの要件を提案した。