■発表のポイント
◎摂食時の肝臓、野生型マウスと肥満モデルマウスの差分トランスオミクスネット ワークを構築し、肥満に伴う代謝異常の全容が明らかに
◎肥満モデルマウスを使った絶食時の代謝異常の研究は数多くあったが、摂食時のトラン スオミクスネットワーク解析は今回研究によって初めて実施。その結果、絶食時とは異なる点を数多く見いだした
◎摂食時のトランスオミクスネットワークを絶食時のトランスオミクスネットワークと比較することによって、肥満での代謝異常のメカニズム解明や代謝疾患の予防や治療に役立つと考えられる
東京大学等の研究グループは、摂食時の肝臓での差分トランスオミクスネットワーク(遺伝子発言・代謝物層などにまたがる大規模ネットワーク)を構築し、肥満に伴う代謝異常の全容を明らかにした。 摂食時の野生型マウスと肥満モデルマウスの肝臓での差分トランスネットワークを新たに構築、すでに報告されていた絶食時の差分トランスオミクスネットワークと比較することにより、摂食時と絶食時で異なる病態を有することを解明した。
通常の ライフスタイルでは、絶食時よりも摂食時の方が生理的状態に近いため、この研究成果は肥満の代謝異常のメカニズム解明や、将来的に肥満に伴う代謝疾患の予防や治療に役立つと考えられる。
この研究は東大大学院理学系研究科生物科学専攻の白云帆特任研究員、黒田真也教授、附属遺伝子 実験施設の守田啓悟助教らによる研究グループが、奈良先端科学技術大学院大学の小鍛治俊也助教、新潟大学大学院医歯学総合研究科の松本雅記教授、幡野敦助教、東京医科歯科大学M&Dデータサイエンスセンターの大野聡講師、理化学研究所生命医科学研究センターの柚木克之 チームリーダー、金沢大学新学術創成研究機構の井上啓教授、稲葉有香准教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科の鈴木穣教授、九州大学生体防御医学研究所の馬場健史教授、和泉自泰准教授、高橋政友助教、慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授、平山明由准教授と共同で行った。