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硫酸イオン輸送体の欠損が植物の抽台を早期化 九大研究Gが明らかに 早期収穫などに応用可能 

九州⼤学の丸⼭明⼦教授らの研究グループは、広島⼤学など3大学と共同で、硫酸イオン輸送体(SULTR2;1)を⽋損させると地面に広がり成長するロゼット葉のグルタチオン量が増し、茎をのばす段階が早まることを明らかにした。早期収穫に向けた成果の応用などが期待されている。

硫酸イオン輸送体の1つSULTR2;1は根から葉、古い葉から新しい葉、種⼦への硫酸イオン輸送をすることが知られている。⼀⽅で、⽣育期間を通してどのように働くのかは分かっていなかった。

研究グループは分析で、SULTR2;1を失わせた植物が成熟すると、硫酸イオンの地上部が滞り、ほとんどの部位で硫酸イオンや硫⻩を含む化合物の量が減少することを⾒いだした。

その一方で、ロゼット葉内のグルタチオン量は増加していた。この植物では茎を伸ばす段階が早まったが、葉の成⻑や植物重量には影響していなかった。抽台が始まる時期の葉に含まれるグルタチオン量は野⽣型株と⽋損株で同程度であったという。これが、硫酸イオンの輸送や含硫代謝物の分布と植物の成⻑調節に関する新しい発⾒となった。

丸山教授は「植物体内の代謝が植物の⽣育に与える影響はさほどよく分かっておらず、私たちも⾒過ごしがち」と説明。「(ともに研究した)カムサラートさんの⾟抱強い観察により、硫⻩代謝と⽣育の間の興味深い関連性が⽰された」と述べている。