文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
がんに貼りつく分子接着剤 理研研究員らが開発 早期診断と治療の併用戦略に期待

理化学研究所の田中克典主任研究員らの研究グループは、極小サイズのアジド基をがんの分子接着剤として開発し、マウス内のがんにさまざまな放射性核種を効率的に貼り付け、がんを治療する技術を開発した。1日付の科学雑誌「ケミカルコミュニケーションズ」に掲載された。がんの早期診断と治療の併用戦略に期待ができそうだ。

共同研究グループは、がんで大量に生産されるアクロレイン(CH₂=CHCHO)と反応するアジド基(−N₃)をがんに対する極小サイズの接着剤として開発。放射性核種をがんに選択的に貼り付けることに成功した。

アジド基を持つ放射性錯体をヒト肺がん細胞移植マウスに注射投与したところ、放射性核種ががんに長時間とどまることを可視化できたという。

研究グループは「今後、幅広い核種を用いたラジオセラノスティクスへの展開が期待できる」とコメントしている。