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総動脈幹症の主要因となる遺伝子変異 東北大など3団体が「c.1617del」を新発見

東北大学と宮城県立こども病院、山形大学は、重症先天性心疾患の「総動脈幹症」の日本人患者の遺伝子を解析することで、膜タンパクTMEM260の遺伝子変異「c.1617del 」が総動脈幹症の新たな原因であることを突き止めた。

総動脈幹症の最大の原因には22q11.2欠失症候群が挙げられ、総動脈幹症の12〜35%を占めるとされている。だが、それ以外の主要な原因はこれまでに報告されていない。そこで、研究グループは総動脈幹症の患者11人を対象にゲノム解析をして要因を調査した。

その結果、膜タンパクTMEM260の遺伝子変異であるc.1617delの同じ場所に変異がある「ホモ接合性変異」が3人、違う場所が変異した「複合ヘテロ接合性変異」が2人 、その他の遺伝子異常(GATA6、NOTCH1)が2人見つかった。

検査を行った11人中7人で総動脈幹症の原因となる遺伝子変異が見つかり、日本人の総動脈幹症患者における遺伝学的検査の重要性が明らかになった。

研究グループは「今後はTMEM260の機能を明らかにすることで、治療へ応用できる可能性や他の重症先天性心疾患でも同様の高頻度遺伝子変異が存在する可能性もある」と期待を寄せている。