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「細胞死」制御酵素の活性評価方法 東北大助教らが独との共同研究で発見 抗がん薬の開発加速

東北大学の伊藤隼哉助教らは独ヘルムホルツセンターミュンヘンとの国際共同研究により、細胞死の一種「フェロトーシス」を制御する重要な酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の酵素活性を評価するための新たな方法を開発した。

具体的には、まず哺乳類の培養細胞内に標識したGPX4を過剰発現させ、そのマーカーをもとに目的のたんぱく質を分離する。そして、セレンを正しく含んだGPX4を回収する。

次にGPX4と基質となる過酸化脂質を反応させ、酵素反応による過酸化脂質の減少または酵素反応の結果として消費される補酵素の減少を指標にして酵素活性を評価する。

グループによれば、この方法はGPX4阻害薬の効果の評価にも使用できることが確認された。また、高純度の過酸化脂質を生成する方法が確立されており、純度の高い過酸化脂質を基質として使用することで、GPX4の酵素活性を正確に評価することが可能だという。

また、別のフェロトーシス抑制酵素「FSP1」の酵素活性の評価にも応用できるとしている。

伊藤助教らは「GPX4やFSP1の阻害薬はがん細胞のフェロトーシス細胞死を促進または亢進させる作用により、新規の抗がん薬となる可能性がある」と説明。「これらの阻害薬の新規探索や薬効の評価に応用されることが予測される」としている。