北海道大学の佐藤敏文教授らの研究グループは、大豆などに多く含まれる「セルロース」の熱分解物を原料として用いることで何度もリサイクル可能な非天然型多糖類の簡便な合成法の確立に成功した。この手法による高分子材料の創出が持続可能な社会構築に貢献しそうだ。
セルロースなどの多糖は地球上で最も豊富に存在するバイオマス資源であり、それらから高分子材料を作り出すことは化石資源に依存しない持続可能な社会の構築につながる。だが、多糖を結合するには多くの手順が必要であるため、より簡単な合成法の開発が求められている。
研究グループは、セルロースの熱分解物である「LGO」と「Cyrene」から簡単な合成法によりさまざまな修飾を施した分子(アセタールモノマー)を調製し、その重合によって多様な非天然型多糖類を化学合成できることを見いだした。
アセタールモノマーの修飾の仕方により、得られる多糖の性質を調節することができ、天然に存在しない多糖を作り出すことも可能だ。実際に合成できた非天然型多糖から、有機ガラスと同等レベルの高い透明性を有するフィルムに加工できることも発見している。
研究グループは「将来的に自動合成や人工知能などの最先端技術と本合成法を融合することで、次世代機能性高分子材料の迅速な創出につながる」と評している。