京都大学と仏サクレ大学、仏ソルボンヌ・パリ・ノール大学との共同研究により、ダイヤモンドの光吸収スペクトルを高い精度で取得し、アクセプタに束縛された励起子の微細構造におけるスピン軌道相互作用の効果を明らかにした。半導体の基礎物性の理解に大きく貢献するとしている。
これまで、実験的な難しさによりダイヤモンドの励起子に対するスピン軌道相互作用の効果については20年以上にわたって長く謎のままであった。
研究グループは、ホウ素がアクセプタとして添加された青色ダイヤモンド中の束縛励起子の微細構造を光吸収によって観測することで、従来の発光測定におけるエネルギー分解能の限界を打破した。理論計算との比較を行い、半導体中のアクセプタ束縛励起子におけるスピン軌道相互作用の大きさを決定することに初めて成功している。
研究グループは「半導体にとどまらず冷却原子や原子核物理学などの幅広い分野で、スピン・軌道の結合自由度を持つ粒子間の相互作用に対して有益な知見を与える」と紹介。「束縛励起子の微細構造が解明されたことにより、ダイヤモンドのpn接合が要となる幅広いデバイス応用に波及すると考えられる」とコメントしている。