北海道大学と一般社団法人生産開発科学研究所(生研)の研究グループは、海洋細菌「アルゴリファグス」属の細菌が産生する希少物質「モノサイクリックカロテノイド」の新たな種類を同定するとともに、その生合成に関わると予想される遺伝子を発見した。
これまでにおよそ1000種類が天然の脂溶性色素「カロテノイド」として確認されているが、片方の分子末端のみ環状化されたモノサイクリックカロテノイドは珍しく、その種類や生産者、生理活性に関する知見は十分でなかった。
研究では沖縄県瀬長島で採取した海藻から、「アルゴリファグスsp.oki45」株を単離するとともに、この株の産生するモノサイクリックカロテノイドとして「(3S)-フレキシキサンチン」に加えて、「(2R,3S)-2ヒドロキシフレキシキサンチン」を新たに確認した。
さらにoki45株のゲノム中に、フレキシキサンチンの生合成に必要な8つの遺伝子に加えて、末端環の水酸化反応を触媒する「crtG」と同一起源にあたる遺伝子を見つけている。
研究グループは「不明な点が多いモノサイクリックカロテノイドの生合成系に新たな知見をもたらすとともに、単離したモノサイクリックカロテノイドの生理活性の探索や、大腸菌などを用いた異宿主生産系における遺伝子資源としての活用につながる」としている。