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重炭酸イオンでGPGRが活性化 順天堂大等共同研究Gが世界初発見 脳梗塞の治療などに貢献

順天堂大学と東京大学、理化学研究所の共同研究グループは、重炭酸イオンによって活性化されるGたんぱく質共役型受容体(GPCR)を世界に先駆けて発見した。脳梗塞の新たな治療方法の創出が期待されている。

研究グループは、酸塩基平衡に関連するGPCR候補として同受容体であるGPR30に着目。細胞培養培地の添加によって細胞内カルシウムが上昇することを偶然発見し、培地の各成分を添加してGPR30の応答を解析することで、地中の重炭酸イオンに応答していることを突き止めた。

次に研究グループは、GPR30発現細胞で蛍光たんぱく質を示すマウスを作製して全身の臓器を調べ、GPR30が脳の血管壁細胞に発現していることを見いだした。さらに、このマウスから単離したペリサイト及び血管平滑筋細胞が、GPR30依存的に重炭酸ナトリウムに反応して細胞内カルシウムを上昇させることを証明した。

ペリサイトは血液と脳組織の間の物質のやり取りを制御する血液脳関門(BBB)の維持や血流の調節に関わっていることが知られている。また、脳梗塞の中心的な病態である虚血再かん流障害に関与していることも分かっている。

そこで、GPR30欠損マウスを作って脳梗塞モデルを作成すると、虚血再かん流障害が軽減することが確認された。さらに、GPR30欠損マウスでは、中大脳動脈の再開通後の脳血流の回復が速やかに生じることも明らかになっている。

研究グループは「GPR30が脳主幹動脈再開通後の微小循環障害に関与している可能性が明らかになったことから、GPR30は脳梗塞の新規治療ターゲットとなる可能性が期待されている」とコメントしている。