上智大学のフエンティス コルドバ・ガブリエル准教授は、森林伐採が子どもや妊婦などの社会的弱者の精神的健康に対して、悪影響をもたらすことを明らかにした。また、マラリアから子どもを守る政策の必要性を指摘している。この成果は、環境破壊が周辺地域の人々に与える具体的な影響を解明するための重要な知見だ。
フエンティス准教授はカンボジアの森林消失と人口保険調査データ(DHS)を用いた統計分析を行った。
出生前とその後1年間における森林伐採が、5歳未満の子どもたちの健康に与える影響を明らかにした。これにより、出生前年に森林伐採が進行した地域で生まれた子どもは、そうでない子どもよりも健康状態が悪くなることを確認している。
また、生まれる前の森林伐採が妊婦のマラリアの罹患、子どもたちの健康にどのように関連しているかを調査した。その結果、妊娠前年の森林伐採が妊娠中のマラリアの増加と関連しており、母胎内にいる胎児の健康にも悪影響をもたらすことが分かっている。
この知見は子どもの出生前後に自然災害や異常気象などで受けたショックが、人生にどのように影響するか明らかにする上で重要だ。さらに、森林伐採率が高い地域では、蚊が媒介するマラリア感染から子どもや妊婦の健康を守る政策の必要性を示している。
フエンティス准教授は「森林伐採と人間の健康・生活の関係を明らかにする上で非常に重要な成果を得られた」とコメントしている。