京都大学と国立遺伝学研究所、東京大学の研究グループは、ミジンコが日照時間の長さに反応して、休眠を始めるタイミングに違いがあると発見した。遺伝的多様性や種多様性の維持機構を解明する重要な知見であるとしている。
多くの湖では1つの遺伝子型のみが生息する。だが、少数の水場では2つの遺伝子型が共存していることが報告されている。今回、長野県阿南町の深見池に生息するミジンコの2つの遺伝子型に着眼して研究を行った。
その結果、「昼が短くなるとすぐ休眠し始める遺伝子型I」と、「昼が短くなってもなかなか休眠しない代わりに、単為生殖で数を増やす遺伝子型II」が存在することが明らかになった。
日長に反応した休眠しやすさの違いが長期的な共存を可能にするのかを探るため、シミュレーションで検証した。それによると、休眠を始めるタイミングがずれていて、冬の訪れの時期がばらついていれば2つの遺伝子型が共存することが判明している。
研究グループは「休眠を始めるタイミングの違いも重要な役割を果たすことを示した」と説明。「遺伝的多様性や種多様性の維持機構を解明していく上で重要な知見の1つとなる」と評価している。