大阪大学と京都大学の研究グループは光応答性の細胞培養基材を開発し、免疫細胞とがん細胞との相互作用を1つずつ観察して治療効果の高い免疫細胞を探すプラットフォーム技術を開発した。がん細胞を殺す創薬への応用が期待されている。
研究グループは、独自に開発した光によって機能が変わる光応答性の高分子材料を培養基材表面に修飾することで、照射したところにだけどのような細胞も瞬時にくっつく基材を作成した。表面では、複数種類の細胞を望みの光パターンに応じて配置できる。
また、光によって精緻に短時間で配置できることから、多くの種類の細胞を簡単に1細胞レベルの精度で配置でき、浮遊性の細胞も付着させることが可能だ。
これを用いて、水流などで動く免疫細胞とがん細胞を1つずつペアにして並べ、その相互作用を観察する技術を開発した。結果、免疫細胞ががん細胞を殺傷する様子をリアルタイムで観察でき、そのがん細胞傷害性の不均一性を可視化することに成功している。
さらに、観察画像の解析データを機械学習にかけることで、がん細胞傷害性の異なる免疫細胞を1細胞ずつ自動分類できるという。また、並べて観察した細胞を光に応じて1細胞ずつ回収し、その遺伝子を調べる技術の開発にも成功した。
研究グループは「未知の情報を得ることができる本技術は、がんの治療に最適な人工免疫細胞の開発や品質管理、がん細胞を殺傷するための薬の開発へ応用が見込まれる」と期待を寄せている。