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化学物質とウイルスが肝臓がんの発症に影響 理研国際研究Gが中国での肝臓がんの全ゲノム解析

理化学研究所(理研)生命医科学研究センターがんゲノム研究チームの中川英刀チームリーダーらの国際共同研究グループは、中国で最も多いB型肝炎ウ イルス(HBV)感染から発症した肝臓がん(HCC)の全ゲノム解析を行い、日本人のHCCのゲノム変異と比較して、中国特有の肝発がんの要因を複数同定した。この研究成果は、HCCの予防や治療標的の同定に結び付くことが期待される。

今回、国際共同研究グループは、HBV感染が主原因である中国でのHCCについて、494例の全ゲノムシークエンス(WGS)解析を行い、変異を網羅的に同定して特徴を解析した。

その結果、新たに34個の変異が蓄積するドライバー遺伝子やゲノム領域を同定。さらに、食品に含有される可能性のあるカビ毒のアフラトキシンまたは生薬に含まれるアリストロキア酸の暴露によって発がんしたと考えられる形跡をそれぞれ10%、18%のHCCで検出した。

また、HBVのヒトゲノムへの組み込みが73%で検出され、一部は染色体外DNA(ecDNA、発がんの大きな駆動力になると考えられている)を形成して、がん遺伝子の増幅を誘導して肝発がんに影響しているものとみられる。

中国では、HBV感染やHBVのヒトゲノムへの組み込みに加えて、アフラトキシンやアリストロキア酸といった化学物質の環境暴露が、がん発生の初期の段階で特異的変異を導入して、肝発がんに至るものと考えられている。

この研究成果は、科学雑誌『Nature』オンライン版に掲載された。