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ヒメゲンゴロウなど4種の幼虫の共存機構 長崎大と兵庫県立大の研究Gが水田で解明 生活習慣の違いが要因 

長崎大学と兵庫県立大学の研究グループは、水田に生息するゲンゴロウ4種の幼虫が同じ場所に生活できる要因を夜間観察から明らかにした。それぞれの活動の変化や餌の違いなどによって野外で共存していたことを発見している。水田における生物多様性の保全策立案にも貢献できる。

室内実験による先行研究で複数種の幼虫の餌や行動の違いを明らかにした先行研究はあったが、野外下で彼らの共存機構を検証した事例はなかった。

研究グループは2018年と19年の5~9月に水田2枚で、ヒメゲンゴロウ(ヒメ)、シマゲンゴロウ(シマ)、コシマゲンゴロウ(コシマ)、クロゲンゴロウ(クロ)を対象に毎日の夜間観察を実施した。

その結果、ヒメとシマ、コシマはそれぞれの生息場所で遭遇しやすい餌を捕食していた。ヒメは水底のユスリカ幼虫、シマはオタマジャクシ、コシマはボウフラを主に捕食していた。

クロはシマと生息場所が重複したが、ヒメ、シマ、コシマよりも出現時期が遅く、異なる餌であるヤゴを捕食した。また、シマとクロはそれぞれの主な餌と出現のピークが一致した。したがって、ゲンゴロウ類4種は、水田という水深の浅い水域において、幼虫期の活動の変化や生息場所利用、食性の違いによって共存していることが示唆された。

グループは「彼らの共存機構を解明することは、水田生態系における生物多様性の保全策の立案にも貢献できる可能性がある」と説明。「より多くの種を対象として野外調査や室内実験を実施し、詳細に食性や行動の違いを明らかにするとともに、成虫の共存機構についても調査する必要がある」とした。

ゲンゴロウ類4種の幼虫は季節消長、微生息場所利用、食性の違いに
よって共存している⁉