慶應義塾大学の岸本泰士郎特任教授らの研究チームは、神経発達症児に対する注意欠如多動症(ADHD)の評価に用いられる尺度「ADHD-RS-IV」のオンライン診療を用いた信頼性を検証した。精神分野におけるオンライン診療の有効性を示しており、コスト削減など当事者らにとって大きな利益となりそうだ。
研究では、注意欠如多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた6~17歳の74人の日本人の児童思春期患児とその養育者を対象に、ADHD-RS-IVによる対面評価と遠隔評価の一致度を検討した。
その結果、全体では評価の一致度を示し、1に近いほど信頼性が高い「級内相関係数(ICC)」が被験者全体では0.769、特にADHDを主診断とする患児においては0.816であるなど、オンライン診療を活用した遠隔評価が対面評価による結果と高い精度で一致することを示した。
岸本教授らは「オンライン診療の有効な活用によって、初診までの待機期間の短縮や通院時間、待ち時間の削減、さらには医療周辺コストの削減など患児や養育者にとって多大な利益がもたらされる」とコメントしている。