広島大学と米ミネソタ大学の研究グループは、10グレイ以上の単回高線量の放射線治療を行うことによる免疫反応モデルを構築。この治療効果の細胞シミュレーションの開発に成功した。放射線照射によって低酸素化することで免疫反応が誘発されることなどが分かっている。
研究では単回高線量の放射線治療を行った際に低酸素状態が活性化することで誘発する低酸素誘導因子「HIF-1α」に注目。これによる免疫反応に関して細胞シミュレーションでの解析システムを開発し、治療効果とメカニズム解明に取り組んだ。
その結果、放射線の照射によって低酸素化することで免疫反応が誘発され、腫瘍増殖が抑えられることが分かった。さらに数カ月免疫効果が持続する可能性が示されている。
研究グループは「個々の患者における免疫反応の違いを検証し、治療効果を高められるような条件探索をシミュレーションで行い、臨床へ導入できるようなシステム開発を継続していく」としている。