近畿大学と京都大学の研究グループは、臨床では薬剤感受性と相関しているがん細胞のDNA修復異常は、データベースを用いた解析では逆に抵抗性と関係していると発見した。臨床と細胞株データベースには差異があることを突き止めている。
研究グループは、データベースに登録された約1000種類のがん細胞株のゲノム解析データと、抗がん剤や分子標的薬への感受性データの関連性について解析した。
その結果、DNAを修復するメカニズムの異常である「相同組換え修復欠損」(HRD) は抗がん剤「プラチナ製剤」やDNA修復に関わる酵素を阻害する「PARP阻害剤」に対する感受性と相関しておらず、むしろ抵抗性と関連していることが明らかになった。
この結果は、高頻度でHRDが見られる乳がんと卵巣がんの細胞株のみを分析した場合や、別のデータベースを用いた場合でも一貫していた。
研究グループは「研究成果から、臨床とがん細胞株データベースでは解析結果に差異があることが明らかになり、データベースでの解析には限界があることが示唆された」としている。