京都大学と日本アイ・ビー・エムの研究開発グループは、AIを活用した難病情報照会アプリとして、一般市民向けの「RD-Finder」と医師向けの「RD-Finder Pro」を開発して20日にインターネット上で公開した。罹患している可能性のある難病情報を提供し、患者と専門医をつないでいく。
難病と呼ばれる希少・難治性疾患は疾患ごとの患者数は少ないが、その数は人口の6〜8%に上るとされる。診断がついても治療法が確立していない病が大多数で、疾患関連情報に基づく診断や治療法、医薬品の開発による救済が求められている。
研究グループが開発したRD-Finderは遺伝性疾患総合データベース(UR-DBMS)や医療文献データベースなどの情報を利用して、関連する可能性のある難病疾患候補を検索してその関連情報を提供するウェブアプリ。UR-DBMSには症状は約7000件、疾患は約1万件の情報が登録されている。
RD-FinderとProは、UR-DBMSに登録された情報とユーザーにより入力された症状の紐付けを行う。そして、医療文献データベース「PubMed」から抽出した情報から症状と疾患の関連度を計算して難病を特定するという。
RD-Finderでは日本語で入力した症状を生成AI技術を用いて、専門用語も分かりやすく伝えることで一般の人も利用できるようにする。Proは、症状入力と共起症状の選択においては医学的階層構造を利用して厳密な特定や幅広い関連の検討にも対応している。
研究グループは「RD-Finderの利用促進による患者さんの支援を展開するとともに、臨床医によるRD-Finder Proを利用した医療機関での希少疾患患者の発見を促す」と説明。「特定の疾患を対象とした疾患情報レジストリ強化による診断や治療法開発などの難病研究促進と医薬品開発を支援するプロジェクトに結びつけてゆくことを目指す」としている。