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気孔開口に必須の細胞膜プロトンポンプの新規活性調節機構 名大教授らが解明 新たなリン酸化部位を発見

名古屋大学の木下俊則教授らの研究グループは、気孔開口のエンジンの働きをする細胞膜プロトンポンプの881番目のスレオニン残基(Thr881)のリン酸化を介した新規活性調節機構を明らかにした。20日付の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」でオンライン公開されている。

植物は太陽光に応答して気孔を開口しガス交換を行うが、その詳細は未解明であった。研究ではその実態を解明するため、ソラマメ孔辺細胞プロトプラストを用いて細胞膜プロトンポンプの網羅的リン酸化プロテオミクスを行った。

解析の結果、孔辺細胞に赤色光が照射されると、葉緑体における光合成を介してThr881のリン酸化が誘導され、さらに青色光が照射されるとThr881とThr948のリン酸化が引き起こされて細胞膜プロトンポンプが活性化し、気孔開口が誘導されることが明らかとなった。

さらに、シロイヌナズナを用いた遺伝子組換え実験により、Thr881のリン酸化が気孔開口に必要であることが分かった。また、Thr881のリン酸化は孔辺細胞のみならず葉や芽生えでも観察されることから、植物体全体で共通の活性調節機構であると考えられるという。

研究グループは「細胞膜プロトンポンプの精緻な活性調節機構を基盤として、細胞膜プロトンポンプの活性状態を制御した、改変型プロトンポンプを用いた植物改変などに利用できる」とコメントしている。