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放射性同位体の核変換率を評価 東大・京大・理研が手法新開発 核廃棄物の減容と宇宙での元素の起源の解明へ

東京大学と京都大学、理化学研究所の研究グループは、長寿命核分裂片の一つである放射性同位体「⁷⁹Se」の中性子捕獲断面積を実験的に評価した。放射性廃棄物の処理や宇宙での起源天体の解明などに役立ちそうだ。

研究では理化学研究所仁科加速器科学研究センターのRIビームファクトリーで供給され

る光速の70%の速度を持つ⁷⁹Se(寿命32万年)イオンビームを東京大学原子核科学研究センターが開発。

運用する重イオンビーム減速・収束装置OEDOを用いて、光速の20%まで減速後に、重陽子に照射、1中性子移行反応により⁸⁰Seの高励起状態を生成した。さらに、SHARAQ磁気分析器を用いて直接⁸⁰Seを観測することで、⁸⁰Seの高励起状態から中性子や陽子を放出せず、光放出で⁸⁰Seの基底状態になる確率を決定した。

この高励起状態の生き残り確率から⁷⁹Seの中性子捕獲反応率が決定できる。

変換後の⁸⁰Seを直接観測することで反応率を決定するという先行研究にはない新規性があり、この研究成果は今後、長寿命核分裂片といった放射性廃棄物の消滅処理の基礎研究や宇宙での元素の起源天体の解明に役立つことが期待されるという。