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サンゴ調査に革命を 水中ドローンで准深海の環境DNA解析が可能に OIST×NTTが60㍍以上調査可能に

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の佐藤矩行教授らとNTTコミュニケーションズの協力で、水中ドローンで採取した自然環境でとれるDNA「環境DNA」を用いて、深場に生息する造礁サンゴの属を初めて特定した。佐藤教授は「ドローンの力をかりることで水深60メートル以上まで調査をすることが可能だ」と今後の可能性に期待を寄せる。

研究者は一般的にシュノーケリングやスキューバダイビングによって、サンゴ礁を形成するサンゴを観察して研究するが、潜れる深さなどこれらの方法には限界がある。

研究チームは今回、水深約20~80メートルのサンゴ礁の数メートル上の海水をドローンで0.5リットル採取。次に、これらの海水を解析してサンゴDNAを分析した。

その結果、研究チームは准深海のサンゴを属レベルで特定することに成功。サンゴの特定の属の有無から、調査をした沖縄県の慶良間諸島周辺のサンゴ礁では場所や水深によってサンゴの構成が異なることが明らかになった。これはドローンで採取した環境DNAで准深海などに生息するサンゴを効率的に観察できる可能性を示唆している。

佐藤教授は「私の理想とする調査は、浅瀬から中有光サンゴの生息域である准深海、さらにはその先のサンゴの生息が見られなくなる領域まで、サンゴ礁全域を調査すること」と説明。「この水中ドローンは、より広範な環境DNAモニタリング調査を実施するための優れた方法を提供してくれる」と述べている。