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スパコンで迫る宇宙最大規模の爆発現象の謎 京大研究Gがガンマ線バースト駆動のマグネター仮説を検証

京都大学の木内建太特任准教授らのグループはスーパーコンピューターを使用して、連星中性子星合体の世界最高解像度の第1原理シミュレーションに成功した。これにより宇宙最大規模の爆発が「ショートガンマ線バースト」がダイナモ機構により起きると分かった。連星中性子星合体がガンマ線バーストを駆動する仕組みを明らかにしたことは大きな進歩だ。

「中性子星2つの合体後にブラックホールが形成されてガンマ線バーストが駆動されるのか」、「非常に重く高速回転する中性子星が形成されて駆動されるのか」といった問いに答えるため、世界中の研究グループが連星中性子星合体の精緻な第1原理シミュレーションに挑戦している。

研究グループはシミュレーションデータを解析した結果、連星中性子星合体後に形成された超大質量中性子星内部で磁場の生成機構「αΩダイナモ機構」により高度に揃った強磁場が生成されると分かった。十分な強度を持った磁場が光速で伝搬するジェットを駆動することがシミュレーション中で再現された。

これに伴い、中性子を過剰に含む物質が太陽質量の10%程度放出されることも発見。これは金やウランなどの鉄より重い元素が連星中性子星合体で合成され、電磁波で明るく光り輝くことを示唆している。

これにより連星中性子星合体で強く磁化された超大質量中性子星(マグネター)が形成され、ショートガンマ線バーストを駆動する「マグネター仮説」が可能であることを解明とともに、観測的にこの仮説が検証可能であることを示した。

研究グループは「宇宙では地上では起こり得ない興味深い現象が沢山ある。今後も挑戦的な研究課題に取り組んでいきたい」と意気込んだ。