産業技術総合研究所の秋田一平主任研究員は、愛知製鋼と共同で製造ばらつきや環境変動による検出感度の変動を自動補正できる高感度磁気センサーを開発した。小型高感度磁気センサーの応用範囲が広がることが期待されている。
小型で高感度な磁気センサーは、電流センシングやIoT向け環境センシング、脳磁図など広い分野で必要とされている。これをIoTに応用するには、その感度を一定に保たなければならない。感度を手動で調整するためにかかるコストが小型高感度磁気センサーの用途拡大を妨げていた。
産総研が設計した自動補正機能をもつ特定用途向け集積回路(ASIC)と愛知製鋼の磁気インピーダンス素子(MI素子)を組み合わせることで、磁気検出感度のゆらぎを3分の1に抑制することに成功した。
秋田主任研究員らは「この技術は、補正のための特別なテストモードなどが不要で通常のセンシング動作を行いながらバックグラウンドで実行可能なため、低コスト化が見込める」と強調。「デジタル出力型とすることで、出力信号の扱いやすさと低消費電力化の両立を実現した」としている。