東京工業大学の河野正規教授らの研究チームは、分子の構造解析技術である結晶スポンジ法に利用できる新たな細孔性材料の金属有機構造体(MOF)を開発した。創薬などに応用可能な原子分解能を有しており、汎用性が高く迅速な精密分子構造解析に期待されている。
研究チームは、新たに開発したMOFにおいて、その微細な穴の内に存在する水がしなやかに形を変えることで構造解析対象であるゲスト分子の形状や性質に適合し柔軟に捕捉する「ゲスト適合型水ネットワーク」機構を発見した。
この機構により、これまで取り込み機構の制約により解析できなかったようなゲスト分子においても、細孔内に円滑に取り込み、原子分解能を有する精密な分子構造解析が可能となった。
河野教授らは「今回発見したMOFによる結晶スポンジ法によって、創薬をはじめとした材料科学全般において分子の構造決定を従来よりも迅速に行うことが可能になると期待される」としている。