東京工業大学など5機関からなる共同研究グループは、ダイヤモンド構造にIV族元素である鉛原子を注入した量子光源において、発光線幅の物理限界である「自然幅」に近い発光を得ることに成功した。
量子もつれを基に安全な情報通信を行う量子ネットワークでは、送受信地点および中継点のノードにおいて自然幅で発光する量子光源が必要となる。この研究では、ダイヤモンド中に形成した鉛と空孔からなる複合欠陥である鉛-空孔(PbV)中心からの自然幅に近い発光を観測した。
さらに、狭線幅での発光が約16Kとこれまでのダイヤモンド量子光源よりも高い温度でも得られることを実証した。
この研究には、東工大をはじめ、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、量子科学技術研究開発機構、さらにドイツ・ウルム大の研究者らが参画。研究グループは「これらの成果は冷凍機の性能を緩和できることを示しており、大規模な長距離量子ネットワークの構築につながるものと期待できる」と評価している。