三重大学の丸山和晃講師らのグループは病理診断の残余検体に含まれるヒト胚を集積し、人でリンパ管がどのように形成されるのかを解明した。人でのリンパ管の初期発生が明らかになり、リンパ管の発生、リンパ管関連疾患の病態解明に役立つことが期待されている。
リンパ管の発生や生理的な役割は種差が大きく、人で実際にリンパ管がどのように形成されるのか、マウスの知見がそのまま適応できるのかどうかは解明すべき問題であった。
研究開発課題では、3〜8週の胚と9週の胎児標本を使用し、「リンパ管が魚類・マウスと同様に静脈内皮細胞の分化転換で形成されること」や「体上部リンパ管が体幹部のリンパ管と比較し、非常にゆっくりと発生すること」を明らかにした。
また「静脈角が初期リンパ管(リンパ嚢)と総主静脈の結合部にリンパ管と静脈を境界する弁が作られ形成されること」、「さまざまな臓器ごとにリンパ管がどのように多様な分布を獲得するのか」を解明している。
研究グループは「人のリンパ管関連疾患を理解する上での基盤知見となった」と説明している。