金沢大学の宮成悠介准教授らの研究グループは、ゲノムDNAの機能制御に関与する遺伝子「TFDP1」を同定した。さらにTFDP1の機能を阻害することで、ゲノム編集やiPS 細胞リプログラミングの効率を上げることに成功した。15日付の国際学術誌「ネイチャー・ジェネティクス」に掲載されている。
研究では転写因子TFDP1 がクロマチン形成に必須なヒストンタンパク質の転写制御の中心的な役割を担っていることを見いだした。この研究成果は「遺伝子発現などのゲノム機能に関与するクロマチン構造がどのように制御されているのか」という生物学上の大きな謎に答えるものだ。
また、TFDP1を阻害することで細胞内のクロマチン構造を人為的に操作するユニークな方法を樹立したという。宮成准教授らは「この技術はゲノム編集やiPS細胞リプログラミングだけでなく、ワクチン開発や再生医療分野など幅広い研究分野に活用されることが期待される」としている。