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抗酸菌の休眠誘導機構 新潟大教授らが明らかに 天然変性たんぱく質による新たなDNA凝集メカニズム

新潟⼤学の松本壮吉教授らの研究グループは、4大学との共同研究で抗酸菌の天然変性ヒストン様たんぱく質(MDP1)が、他の核酸結合たんぱく質では報告のない「天然変性領域」を介した新規のDNA凝集メカニズムによって抗酸菌の休眠を誘導することを明らかにした。

結核などの抗酸菌症は、投薬期間が半年から年単位に及ぶ。この原因に、菌が長期間存在する「薬剤パーシスター化」する抗酸菌の性質があるが、休眠期に誘導される分⼦の解析が⾏われてきた中で、実際に休眠を誘導する分⼦は報告されていなかった。

抗酸菌のヒストン様たんぱく質は一定の立体構造をとることができず変性しているかのように振る舞う天然変性領域を持ち、その作⽤で休眠を誘導する。

研究グループは、⾼速原⼦間⼒顕微鏡によるタイムラプス撮影と分⼦動⼒学計算を組み合わせて分析。MDP1の天然変性領域が両⾯テープのように、2本のDNA⼆重らせんを貼り合わせていく他の核酸結合たんぱく質では報告されていない新規のDNA凝集メカニズムを解明した。

研究グループは「抗酸菌の休眠における重要なメカニズムが分かったことで、結核などの抗酸菌症の創薬が⼤きく前進する」とコメントしている。