日本原子力研究開発機構の研究グループは、粘土鉱物が金属イオンを吸着するはたらきにおいて、水に溶けにくく半径が大きいイオンが鉱物に強く吸着する傾向を見いだした。また、この傾向は天然の土壌でも成り立つことを示している。
粘土鉱物への金属イオンの吸着は元素ごとに個別で研究されていたが、系統的な理解がこれまで不足しておりその分析が求められていた。
研究では分子レベルの実験とスーパーコンピューターによるシミュレーションを組み合わせて金属イオンの吸着挙動を解析。「水への溶けにくさ」と「イオン半径」の2点に着目した。
分析の結果、水に溶けにくく、イオン半径が大きい金属イオンほど、粘土鉱物に強く吸着される傾向を突き止めたという。この発見を踏まえて、イオン半径が大きい「ラジウム」が粘土鉱物に強く吸着すると予測。天然の土壌を分析することでそれが裏付けられたという。
研究グループは「今回の発見は、土の中の放射性元素の挙動を理解する手助けとなるだけでなく、資源探査や地球以外の太陽系惑星や小惑星の理解、さらには土を扱う農業の効率向上にも寄与することが期待される」とコメントしている。