文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
マグネターの高速電波バーストと連続グリッチを観測 京大などの国際研究チームが世界初

京都大学などの国際研究チームは、銀河系内の強磁場の天体(マグネター)「SGR 1935+2154」をX線で高頻度で観測した。一昨年に発生した高速電波バーストの前後に、星の自転が急速に速くなる「グリッチ」が2回起きたことを突き止めたと発表した。バーストとグリッチが併せて観測されることと、2度の連続グリッチの確認は初めてだという。

研究チームは、このX線パルスの到来時間を解析。今回の高速電波バーストが起きた前後の時間で、SGRの自転がどのように変化しているか調べた。

その結果、この天体は高速電波バーストが発生した約4時間前とその4時間後に、急激に自転が速くなるグリッチが起きたことを見つけた。それぞれのグリッチは、これまでに観測された中で最大級であることも分かっている。

研究チームは「2度のグリッチの間で、自転が急激に減速した」と解析。「減速するということは何らかの方法でエネルギーを外に排出する必要がある」と考えた。

そこで、X線バーストのスペクトルも解析して外に放出された放射エネルギーを計算した。その結果、放射によって失われたエネルギーは10%程度と分かり、荷電粒子を含む星風など、放射エネルギー以外の理由で減速が起きた可能性が示唆されている。

自転が早くなるグリッチ、急速な減速、2回目のグリッチの後には、ほぼ元の自転速度に戻っており、高速電波バースト前後の高頻度なX線観測が実現したことによって、貴重なタイミングを見たという。

京都大学の榎戸輝揚准教授は「激変する宇宙を観測する時間軸天文学の分野ではこういった高頻度観測は大切で、将来の宇宙望遠鏡や月面天文台で実現していきたい」と述べている。