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「うつ病になりやすい体質」の遺伝 東京慈恵会医大研究Gが仕組み世界初発見 ワクチンへの応用も可能

うつ病の原因となる「ヒトヘルペスウイルス6 (HHV-6)」のSITH-1遺伝子には、うつを起こしやすいタイプとそうでないタイプが存在する。東京慈恵会医科大学の研究グループは、これが「うつ病になりやすい体質」とその遺伝に関与することを世界で初めて発見した。それによりワクチンの開発が可能となり、偏見も減らせるとしている。

うつ病は、なりやすい人となりにくい人が存在する。「うつ病になりやすい体質」は遺伝することが判明しており、その遺伝率は30~50%と考えられている。だが、その仕組みは不明であった。

研究グループによると、引き起しやすいタイプの人が持つSITH-1遺伝子は、そうでない人と比べてSITH-1が発現しやすい遺伝子変異を持っており、患者の7割弱がこのタイプの遺伝子を有するHHV-6に感染していた。このタイプに感染している人は、そうでないと比べて約5倍うつ病になりやすいことが分かった。

また、HHV-6は新生児期に母から感染し、生涯ウイルス感染が持続することが知られている。うつを起こしやすいSITH-1遺伝子は、HHV-6と共に親から子に伝搬することで遺伝に関係することも判明したという。

研究グループは「謎とされていたうつ病の遺伝のメカニズムが明らかになり、解決策が得られたことで、うつ病に対する社会的偏見が減る」とし、うつ病を起こしにくいHHV-6をワクチンとして接種することが可能であると期待を寄せている。