広島大学の灰野岳晴教授らの研究グループは、レゾルシンアレンが金属イオンとの自己組組織により二量化することで形成されるキラル超分子カプセルを用い、その外周部のキラル空間を反応場として活用した。それにより第2級アルコールのエナンチオ選択的アシル化反応の実現に成功した。
研究グループはレゾルシンアレンが金属イオンとの自己組織化により形成されるキラル超分子カプセルの表面に着目。同カプセルの表面部分をキラル源として用いることができないかを検討した。
直線状の分子に触媒を担う部位を導入したゲストを設計。このゲストをキラル超分子カプセルに包接させることでホスト・ゲスト錯体を得た。触媒を担う部位は、キラル超分子カプセルの表面の近傍に位置するため、触媒部位に接近した基質(第2級アルコール)はカプセルのキラリティーの影響下を反応が進行することが期待されるという。
研究グループは測定の結果、用いた基質はエナンチオ選択的にアシル化反応が進行することを確認した。この結果は、キラル超分子カプセルの表面近傍で反応が進行していことを示す重要な成果だ。
灰野教授らは「研究成果は、これまでの超分子カプセルの活用に新たな概念を提供するもの」と説明。「触媒部位にさまざまなものを用いることができる高い汎用性をもつため、本研究成果の概念を応用することで基質の制約を大きく低減させた様々な超分子カプセルを基盤とする触媒群の実現が期待できる」としている。