奈良先端科学技術大学院大学と中部大学、名古屋大学、理化学研究所の共同研究グループは、細胞内のたんぱく質などを自ら分解する機能「オートファジー」を使って、植物が古くなった花びらを除去していることを解明した。園芸などの分野で大きく貢献しそうだ。
イネやトウモロコシなどの穀類、アサガオやペチュニアなどの花卉植物において、オートファジーを制御する遺伝子が多く存在していることが分かっていたが、その中でも花でオートファジーがどのような役割を果たしているのかということについては判明していなかった。
研究グループは、モデル植物「シロイヌナズナ」の花を使って実験を行い、老化を促進する植物ホルモン「ジャスモン酸」が古くなってきた花びらの根元に溜まってくることに気が付いた。
このホルモンが花びらの根元に溜まるとオートファジーを制御する遺伝子が、花びらの根元で限定的に働き始める。すると、花びらの根元の細胞にある物質を包み込む「オートファゴソーム」という丸い袋ができ、自食作用の担い手となって不要なものを分解する。この作用から、古い花びらが選択的に散っていくことが分かった。
研究グループは「花びらが散っていくという生命の神秘を支える普遍的な仕組みを知るだけでなく、その仕組みを有効に使って農業や園芸の分野で利用していく上でも、大きく貢献する」と意義を伝えている。