北海道⼤学の山田勇磨教授らの研究グループは、ミトコンドリアを活性化した移植⽤「ヒト由来⼼筋前駆細胞(Human MITO cell)」の製造に成功した。細胞移植療法の検証実験を⾏い、「ミトコンドリア活性化Human MITO cell」が⼼疾患を対象とした細胞移植療法において良好な治療成績を⽰すことを報告している。
細胞移植療法は⼼不全に対する有望な治療法として、障害⼼筋の再⽣効果が期待されている。だが、その開発は治療効果を向上させる必要性、治療効果発現のメカニズムの解明、治療にどの細胞を使⽤するべきかなど多くの課題に直⾯している。
研究グループは製造したHuman MITO cellを虚⾎再かん流ラットに投与し、治療効果を体重変化、⼼機能、⼼筋線維化及び⼼筋メタボローム解析を⽤いて評価した。
Human MITO cell移植は従来の細胞移植と⽐較して⼼機能の改善と⼼筋線維化の抑制を認めることを確認した。それらの治療効果は、⼼筋内投与だけでなく静脈内投与でも観察されている。
細胞移植後4週の⼼筋を分析したところ、Human MITO cellの⼼筋内投与では従来の細胞移植と⽐較してクエン酸回路(TCA回路)に関連するアミノ酸合成が亢進し、解糖系代謝産物の濃度も⾼いことが判明した。
山田教授らは「機能性化合物のミトコンドリア送達がヒトCDC治療の成績向上に寄与することを検証した初めての試み」と説明。「ヒト由来細胞を⽤いて効果検証をしたことでMITO cellの臨床応⽤がより近づいてきた」と評している。