東北大学の寺田直樹教授らの研究グループ、太古の火星大気中における生命材料分子の原料「ホルムアルデヒド」の生成量を推定し、ホルムアルデヒドが太古の火星の温暖な時代に継続的に生成されていたことを示した。
生命の誕生には生命の材料分子が必須であると考えられる。火星における生命の可能性を解明するには、そうした分子の存在可能性を明らかにしなければならない。だが、稼いでホルムアルデヒドがどれくらい生成し得るかは分かっていなかった。
研究グループは太古の化成大気を模擬した条件下で、ホルムアルデヒドの生産量を計算。火山から噴出される水素が一定量あれば、約40~30億年前に多くのホルムアルデヒドが生成されていたと突き止めた。とりわけ、38~36億年前が最も効率的に生産できたという。
計算したホルムアルデヒドの生産量を基に、かつての火星の海の中のリボースの生産量も推定した。それによると、太古の火星の温暖な時期に限ってリボースに代表される生命の材料分子である糖が継続的に生成されていた可能性が示されている。
寺田教授らは「今回生成することが推定できたホルムアルデヒドの同位体などの特徴から当時の地層に堆積した有機物の特徴を推定し、探査機で得られているデータと比較することによって、当時の火星でどのように有機物生成が進んだかをより詳細に明らかにしたい」と意気込んだ。