東北大学の研究グループは、近年提案された確率ビット「pビット」同士の相互干渉が問題であることを特定した。さらに、pビットを部分的に働かせなくすることで相互干渉を防ぐアルゴリズムを開発している。計算資源の節約と処理速度の向上に寄与し、複雑な最適化問題の解決への新たな道を拓きそうだ。
AIによる計算量は非常に大きいため、コンピューターによる消費電力の増大が問題になりつつあり、持続可能な社会に向けた大きな課題となっている。
このような課題に対してpビットによる確率論的コンピューターは現在のトランジスタによる「決定論的計算」とは異なり、出力を一意に決定しない「確率的計算」に基づく計算を行う。
研究グループは確率的アルゴリズムを開発。これを使って組合せ最適化問題の一種「最大カット問題」をシミュレーション実験した。問題において、全てのp ビットの出力が発振していることが確認された。その結果、エネルギーが最小値に向かって低下するどころか逆に上昇してしまうため、計算エラーが発生した。
さらにこの課題を解決するために、pビットの発振を効果的に防ぐコンセプトに基づいて2つのアルゴリズムを開発した。どちらにおいてもpビットの発振を効果的に抑えることに成功し、エネルギーの最小化問題の最適解を得ることが実験で確認されたという。
研究グループは「この技術がもたらす社会、学術的影響は大きく、多くの分野での革新的な進展につながる」と評している。